日記
日記や短文です。
日付は、下がいちばん新しいもの。
今回は、特別編。展覧会の回想です。
(これを載せたら、ようやく気分的に、日頃の自分に戻れそうかも…)
ご自分のHPに感想など掲載いただいた方、本当にありがとうございました。
[2005年4月下旬]
4月20日(水)~27日(水)
DEE’S HALLでの「エトコトバ」展が終わりました。
終わってから、ずっと仕事などでバタバタしていたので、
なんだか、もうあの時間は夢だったのではないかというような気もしてます。
でも、ほんとうにたくさんの方に来ていただいて、
それは事実あったことなんだなあ、と、ぼーっと自分に確認したりしています。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/31taitolu.jpg)
そして実は、upがこんなに遅くなったというのも、
最初、いつものように日記形式でずーっと書いてたんですが、
そうすると、なんだかたくさんの方々の名前と、
うれしかった×1000みたいになってきて、
プライバシーの問題とか、自画自賛みたいなこととか…、
きっとこういうことじゃない、ということだけがわかってきて、
どうしたらいいのか迷宮になり、だんだん逃亡したい気にもなって(笑)、
インターネットでの日記ということについても考えさせられました。
そして、カワハラやくにぞうにも相談した結果、
ただ全体を通しての思いを書く、ということにしました。
(おまたせしたあげくに、こんなことですが、許してください)
写真は、文章とは関係なく、会場の模様です。
(言葉は、絵の下に貼ってあったり、
絵の中にローマ字や日本語で書いてあったり、さまざまな形です)
[エトコトバ展 会場風景 最初のあたり]
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/33-4mai.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/32tobila.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/35dai2.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/34okukado.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/37kotoba-kan-1.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/36kotoba-moto-1.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/38yokokabe.jpg)
[エトコトバ展 記憶の断片の記録]
展覧会が始まる前に、
私の気持ちの中で、ずっといちばん大きかったのは、
やはり「言葉を発表する」ということだった。
そして、それが、どう受け止められるのかということ。
前にも書いたと思うけど、こういう「言葉」(もしくは「詩」)は、
よくわからないとか、この種のものが嫌いとか、
生きていくのに全然必要のない人が、普通にたくさんいらっしゃると思う。
それを本で見てもらうのならまだしも、
不特定多数の方に、壁に貼って読んでもらう、ということが、
いったいどうなるのかと、いたたまれなく不安だった。
でも自分のやりたいことをやると決めたのだし、
これは大きなチャンスなのだから、
どう言われても、また思ってて言われなくても、
それはもういい、自分の思うことを発表できたからもうそれでいい、
と、思うことにした私。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/39kiseki.jpg)
でも、初日から、それは、大きくくつがえされた。
作品を見て、「私はこれが好きでした」と
言いに来てくださった方がいた、ということ。
そして、そのあとも、ずっと、ずっと、たくさんの方が。
その好きと言ってもらった言葉の多くは、その方に似合っていると思った。
また逆に、ものすごく意外に思えたものもあった。
そして自分の心の奥深くの苦しみを表したものや、
なんか狂気的だと思ってたものを、
私から見ると、普通の生活をしている人に、
「今の自分に、すごく、ぐっときました」などと言ってもらえたりすると、
あ、いいんだ…、とじわーとした。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/40sikitokon.jpg)
そして「自分だけではない」という
「許し」のようなものも、もらえた気がして、
ここは何か、見えないものの受け渡し場所のようだった。
中には涙ぐんでくださった方もいて、
それは、ほんとにほっぺたをつねりたくなるような、
自分にとっては、ありえないことだった。
男の人が、感想を言ってくれるというのも、
すごく予想外で、嬉しい出来事だった。
そして、なんか、届いたんだ、人の心に、
と思って、胸がいっぱいになった。
主催者ふたりが嬉しくて、いっぱい、いっぱいになって、
涙ぐむという場面も見られた(笑)。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/41walagaku.jpg)
もちろん、何かを言ってくださることだけが、
いいことではないのは、重々承知。
黙って見てくださったこともありがたく、
口にしない批判も、たくさんあるはずだけど、
でも、それでも、この8日間に起こったことすべては、
今までの私と、これからの私の進む道にとって、大きな出来事だった。
毎日、カワハラと今日1日のことを、めちゃくちゃ熱く喋りながら帰った。
特に初日は、帰ってからも、
まだ幻の中にいるようで、気分が高ぶったまま、
眠らないといけないのに、深夜パソコンに走り書きをしたり。
下にあるのは、その夜、書いたもの。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/42uketuke.jpg)
こんなふうに
うけいれてもらえるのだった
これを
ずっと
やっていっても
いいのかもしれない
そうなのかもしれない
そうするしかないんだけど
でも
よかった
みなさま
ありがとうございました
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/43niwatohana.jpg)
また多くの方に、
「言葉があると、
絵を見て、字を見て、また絵を見てって、
じっくり見るようになっていいよね」と言ってもらった。
言葉を読むことで、
1枚の絵の前での滞在時間が長くなるようなのだ。
そして「言葉を見てから絵を見ると、
はじめに絵だけ見て思ってたのと、また違うふうに見えていいから、
隣に移動する時、最初に言葉を見ないようにがんばってました(笑)」
なんて言ってくださった方も。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/44walabala.jpg)
そして驚くことに、
来場した友達に
「すごくよかったから
見て」と言われて
という方が、何人も。
いいともの
テレフォンつながり
みたいになってて、
信じられない…。
ただただ感謝した。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/45walabalamame.jpg)
(ローマ字で言葉が書いてあるものを、
壁にたくさん並べて)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/47romagenki.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/46walagakutuki.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/48walagakuue.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/49romaue.jpg)
(それを額に
入れたもの、部分)
またふたりのHPを見て来てくださった方も。
ありがとうございました。すごく勇気が出ました。
そしてこの展覧会のためにつくった本、「ひとりがけの椅子」は、
DEE’S HALLの美しい椅子の上に展示。
すごく似合って、しんとした、空気が生まれていたように思う。
本の中の言葉は、数点をのぞいて、会場に展示したのとは違うもの。
絵はすべて、新たに描いたもの。
カワハラ宅で、毎晩組み合わせなどを考えてきたものが、
ひとつの形になったと思うと、感慨深かった。
今、また、どこかの家で、これを開いてもらってたら、幸せだと思う。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/50isutohon.jpg)
そして会場で販売した本達の間に、小さくぽよんと立っているのは、
DMにした絵のモデルにもなったカワハラ作の「はにわ」君。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/51haniwa.jpg)
(これが、牛か、馬か、犬なのか…、
また、作者に似てますよね、などと、
かなりの話題をさらっていた、
にくい奴です…)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/52lingo.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/53lingokotoba.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/55tulippukotoba.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/54tulippu.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/56himo.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/57himokotoba.jpg)
(色鉛筆で描いた絵の中に、日本語を小さく入れた作品の部分、3点。
光っているのは、照明の反射です)
そしてついに終わりの時が。
カミナリの鳴っていた夕立の時以外は、
ありがたいことに、ほぼたえまなくお客様が来てくださったので、
毎日6~8時間ずつくらいお話していたと思う。
自分の人生の中でも、ありえないくらいの8日間…。
最後の打ち上げのお食事会で、
「たくさん人が来てくれてよかったね」と土器さん。
カワハラは、「展覧会やることが決まってからずっと、
いろいろと心配だろうに、土器さんがぜんぜん何も言わないのが、
逆にプレッシャーでもあったんですけど、
信頼してくれてるっていうか、ほんとに嬉しくて…」と言っていた。
(これは、2人でもよく話していたこと)
「私が何言ってもねえ」と笑う土器さん。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/58sikimen.jpg)
(色面構成の中に
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/59kotobahyaku.jpg)
ローマ字という作品。
その下の壁に、細い紙で
貼ったローマ字の読み方)
私も「やることになってから、
ずっとすごい緊張感だったんですけど、
こうやってDEE’Sで最初にできて、ほんとによかったと思って…。
一生忘れないと思います」と最後に言う。
ふたりはなんと、めぐまれているのだろうと思う。
そして「なんか終わった実感がよくわからないよね」などと言いつつ、
ふわふわしながら、ふたりで電車で帰宅した。
この日記を書いている1ケ月後の時点で、
まだおととい終わったくらいの気持ち…。
きっと、ここから、なにか、はじまっていくのだと思う。
そう思うと、何もかもが、うれしい。
支えてくださったすべての人に、
いくら感謝してもたりない。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/60solatohana.jpg)
4月28日(木)
朝からDEE’S HALLで搬出や、片づけ、作品の送付など。
カワハラママに車で荷物を取りにきていただいたり。
がらんとしたホールを見ると、昨日までのことが思い出されるようだが、
何も言葉にはならない。
そして会期中毎日びっしり通ってたので、
土器さんに「明日もここに来ちゃだめよ(笑)」と見送られ、
「お昼だけ、勝手にお庭で食べてたりして(笑)」などと言いつつ、
しずかに胸がいっぱいに。
「ほんとうにありがとうございました」とお別れする。
ふたりで遅い昼ごはんを食べつつ、
「ほんとに終わったんだ」「明日も来ちゃいそう」とかいろいろしゃべる。
実感は、もう少し後になってくるのかもしれない。
でもこの展覧会が、自分たちにとって大きな転機であることは間違いなく、
今は今の、できるだけのことはやった、とは思えた。
実家に戻るカワハラと別れ、
夜はくにぞうと、ちょっとおいしい和食屋さんへ。
「いい展覧会だったよ」とか、いろいろいいことを言ってくれた。
喋ってるうちに、
この人は私のやろうとしてることを信頼してくれている、と思って泣いた。
4月29日(金・祝)
起きたら、めちゃめちゃ午後だった。
やっぱり気って抜けるもんで、もう体も頭も、岩のように重くなっていた。
ここまで体もついてきてくれたのだから、今日はもうどーでもいいと。休もうと。
テレビをぼけーっと見ながら、
パンなどてきとうに何か口に入れ、また寝る。
4月30日(土)
昨日死ぬほど寝たので、起きたら、疲れはあったけど、岩のようではなかった。
風呂に入ってから、自分をだましだまし、気力を出し、たまってた仕事へ。
夜遅く、くにぞうとごはん。
アスパラやじゃがいもを蒸し、ゴマ酢味噌をつけて食べたり。
あとみそ汁、ぬか漬けなど。