日記
日記や短文です。
日付は、下がいちばん新しいもの。
会期中を振り返っての、回想です。
写真を多めに、それぞれの作品への思いなども書きました。
今思っても、貴重な経験と、いい時間でした。
みなさま、ありがとうございました。
☆下の日記に出てくる陶芸家のくまがいのぞみさんは、
10.28(金)-11.2(水)に
「OPA Gallery 」 にて、陶展「複合物」を開催しました。
くまがいさんのHPや、アノニマスタジオのHPで少しだけ写真も見れますよ。
[2005年9月上旬]
9月1日(木)~8日(木)
「ちいさなかたち」 展 回想
陶芸家のくまがいのぞみさん、イラストレーターの川原真由美と
代官山の「GALLERY it’s」で行った
「ちいさなかたち」展の様子をお届けします。
3人がそれぞれ違うものを発表するのではなく、
ひとつのものをつくっていくコラボレーションの形。
くまがいさん、カワハラが土で形をつくり、
そこに私が言葉を、カワハラが絵を描き、
くまがいさんが釉薬をかけて焼く、という工程でつくった陶芸の作品達です。
言葉を発表する展覧会としては、4月に続き、2回目なので、
前よりは少しは心構えもありましたが、
今回はさらに紙ではなく、
「陶器でできたものに言葉が書いてある」っていうのは、
どういうふうに受け止められるんだろう、という不安もありました。
でも3人でやっているので、
ひとりでその重圧を感じなくてすむのもいいところ。
幸いにも初日はいいお天気で、
くまちゃん作の「茶香炉」 をたくと、とてもいいお茶の香が広がります。
会場の準備もととのいました。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/amaoto.jpg)
(裏に「アマオト」)
エントランスに掛けられた1枚の陶板。アジサイ。
(「陶板」は、陶器の板に針金を通したもの。
くまがいさんが粘土の成型をし、カワハラが細いペンで絵を描き、
その絵を見て思った言葉を、私が裏側にハンコで押しました)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/iliguchi.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/iliguchioshare.jpg)
(裏に「キボウ」)
入り口を入ったところ。
くまがいさん私物のアンティークな針金の枠に、数点の陶板を掛けたもの。
この枠に掛けるとぴったりで、またひとつの作品のようでした。
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/uchuula.jpg)
くまがいさんによる造形。集合体。
裏には「宇宙」のローマ字。この塔のような形を見て、思ったこと。
(粘土がやわらかい時にアルファベットのハンコで押し、焼きます)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/tawa.jpg)
こちらも、くまがい作。
棒状のものが、いろんな形へと展開していきました。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/okusyoumen.jpg)
会場の奥側。窓を開け、ベランダにも出られるようにしました。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/hosotukue.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/kyoton.jpg)
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横に「1t」。裏に「KYOTON (キョトン)」 裏に「EN NO SHITA ( 縁の下)」
細い机の上には、ペーパーウエイト達。
(左はカワハラ、右はくまがいさんの造形)
言葉は、遊びっぽいものもつくりました。
物体に書く場合、真剣なものより、
そういう軽い、意味のないものが
なにかしっくりくる気がしたのも、おもしろかったです。
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/sankakuyozola.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/sankakuyume.jpg)
背の高さの違う三角錐の3面に、1面ずつ
関連のあるような、ないような言葉や絵をつづったもの。
たとえば、「 YOZORA MOKUSEI KINMOKUSEI 」
(夜空、木星、金木犀)
これは、自分がすごく好きな作品の言葉。
これができた時、「単語1語だけで世界になる」と思ったこと、
そして「それぞれの面が持つ世界」が隣の面に行くと、少しずれて、
でも時間の端はかすかに重なっているような、
香りの最後は溶け合っているような、
そんな気がしたので、とてもうれしかったです。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/kabe.jpg)
壁に掛けられた、たくさんの陶板達。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/banyugure.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/bansizukesa.jpg)
裏に「ユウグレ」 「シズケサ」
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/oobanyume.jpg)
裏に「ユメ ヲ ミタ」
こちらは、大きなサイズの陶板。30cm程。
釉薬のかかり具合で、白くけむったように仕上がりました。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/oobannazuna.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/oobannazuna1.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/oobannazuna2.jpg)
NAZUNA
NAMAE
YURI
YUKI
ナミノナカ
アワ
KIKYO
キノウノ キモチノ ユクエ
TUYUKUSA
キエテイク ウツクシサ
これも大きな陶板です。
花の名前や、一瞬のモノ。
詩のように、文字を散らして。 (下の2枚は拡大部分)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/yuki.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/simeitadasukina.jpg)
「ユウキ」 「シメイ」 「タダスキナコト」
こちらは、言葉だけを書いた陶板。
わざと、小さなかけらのような形に、 言葉を打ちました。
少し前の日記にも書きましたが、
「シメイ」 が自分のための言葉のようで、
(他のもたぶん全部、自分や自分に似た人を勇気づけたいとか、
それでもいいよ、という気持ちでできてるんですが)
これは特にそうで、こんな形に生まれてくれて嬉しかったです。
今、「シメイ」は、どうしても持っていたくて、
家の部屋の片隅に掛けてあります。
私のできることを、ただずっとやっていこうと、思って。
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ミニチュアの家具達 干支シリーズ
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/tukue3.jpg)
アンティークのスタンプを押した作品
(針金ネットや板は、くまがいさん私物)
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/danbelu.jpg)
上の6つは、カワハラが造形をした作品。(言葉なし)
ミニチュアは、ソファ、机、チェストなどの家具達です。1~5cm程。
干支シリーズは、
「これは、何…?ネコ…じゃないよね。あ、ト、トラ…なの?」などと、
カワハラが何も見ないでつくった
独特な形が評判を呼んでいました(笑)。
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フタの裏に「KIOKU(記憶)」
さまざまな形の箱達。まん丸や、大きいのもありました。
(くまがい成型、カワハラ線画、私がフタの裏に言葉)
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窓辺に本が並んでます。
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/honsunao.jpg)
GOCHA GOCHA SHITA HIBI NO KOFUKU スナオ
(ゴチャゴチャした日々の幸福)
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/honhyosi.jpg)
KOKORO NI HIRUNE WO 表紙は白、黄、黒の3色。
(ココロにひるねを)
これは、陶器でできた「言葉の本」をつくったらどうか、という
くまがいさんの提案でできた作品です。(カワハラの絵入りもあり)
真ん中は針金で留まってて、閉じられます。
形がほんとにかわいくて、 うれしかったです。
言葉は10数種類つくりました。
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/tamagodokoka.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/tamagogekko.jpg)
DOKOKA(どこか) GEKKO(月光)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/tamagokotoba.jpg)
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KOTOBA(言葉)
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/tamagoyozolaula.jpg)
YOZORA(夜空)
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内側の色は、3種。
くまがいさんによる、卵の形の造形物。
すべて中が開けられる、蓋物(ふたもの)の形です。
卵の上部に穴をくりぬいた作品も。
「月光」は、その穴の形が月のようで、この言葉を記しました。
言葉は、表に書いてあったり、フタの裏に押したり。
線画を描いたカワハラは、
「平面でなく曲面に描くのは、また違っておもしろい」と言っていました。
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箸置3点
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/hasiokitoli-1.jpg)
TORI NO KOE
KAZE NO KOE
WATASHI WO YOBU
TOI KOE
鳥の声
風の声
私を呼ぶ遠い声
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/hasiokihana.jpg)
ASADAYO(朝だよ) HANA(花)
くまがいさんが以前からつくっている箸置の形に、言葉を打ったもの。
詩のような単語を切れ切れに押したり、たわいのない言葉を押したり、
どれも好きな作品でした。
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/ieulaoyatu.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/ieulanemuli.jpg)
裏に「OYATSU(おやつ) 」 「NEMURI(眠り)」
家の形。カワハラの造形。
裏側には、家に関係ある言葉を押しました。
他に「TEGAMI」 「KOKAGE」 など。
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![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/sabure.jpg)
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/sabureula.jpg)
鳥達。カワハラによる造形。
「鳩サブレ」に似ているね、ということから、「SABURE1」 と裏に。
「SABURE3」 まで、おりました。
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お客様にお茶をお出しする湯飲みもつくりました。
くまがいさんが成型したさまざまな大きさの器に、
ひとつひとつ違う、線画と言葉を入れた15コ。
言葉は、「RYUSEI(流星)」「NAGI(凪)」
「HARUKA(遥か)」「KANATA(彼方)」などなど。
「これは売り物ではないのですか」という声も多くいただき、
ありがたかったです。
![](https://www.aokimi.com/wp-content/uploads/2020/10/taiyo.jpg)
時々、ベランダから 3人で眺めた風景。
建物の6階なので、とても景色がいいのです。
ここでお客様と休憩がてら、お話したりもしました。
会期中、ずっと、たくさんの方に足を運んでいただいて、
ほんとうにうれしかったです。
また今回も、さまざまな得難い経験ができました。
自分の中での「言葉に対する発見」も、とても多かったです。
それは、陶芸という物体とのコラボレーション
ならではの出来事だったと思います。
見てくださった方々、 本当にありがとうございました。
そして自分にとっては、やはり
言葉をひとつひとつ見て、
今の自分にぴったりくるものを探してくださったことが、
忘れられません。
これからもそういう言葉の力を、もらったり、渡したり、
ずっとしていけたら、と心から思っています。
(*もうちょっとしたら、本や陶板に書いた他の言葉も
作品のページにupしたいと思いますので、
また見ていただけたらうれしいです)
9月9日(金)
昨日、すべてが終わって、3人で感無量。
最終日は特にたくさんの方に来ていただき、
終了後、「無事終わったね…。おつかれさま~」と、どーっと気が抜ける。
そしてなんとDMの写真を撮ってくださった本郷さんが
梱包、搬出を手伝ってくださって感涙…。
最後にがらんとしたギャラリーの中で、
オーナーの高津さんも交えてお茶で乾杯。
あれこれ会期中のことを振り返ったり。
そして常設で、いくつか作品を置いていただけることに!
ありがたいことです。(「ひとりがけの椅子」も)
(*いつ展示されているかなどは、ギャラリーにお問い合わせください)
「本当にお世話になりました」とギャラリーを後にする。
暗い夜道。深い夜の空気が、心地よかった。
そして今日は、ぬけがら。
昼まで寝て、ぼーっと起き上がる。
終わったんだなあ、としみじみ。
が、大好きなカフェ「アンノン・クック」に
「ひとりがけの椅子」を置いていただけることになった(わああ~ 涙)
ので、急いで梱包、発送する。(詳しくはNEWSを)
しばらくは、ほんとうに、すっかり休もうと決意。
9月10日(土)
ずっと寝てたり、テレビ見たり、最高にだらだらして過ごす。
さすがに、体が石のように、だる~。
長く半身浴しても、そんなに回復しないほど。
でも8日間、ずっと7時間以上は、
会場に立ってたので、まあ当たり前かとも思う。
昼も夜も、ハムチーズトーストなど適当なもの。
今は、どんな自分も許す!(笑)